PTA改革事例 ~負担軽減と会費の削減~
江東区立有明小学校は、新たに地域が開発され新しい住民が増えたことにより新設された小学校です。
「愛と情熱と感謝」をキーワードに、「子供たちのために」を最優先に考え、PTA改革を行ってこられた小林会長にお話を聞きました。
改革に取り組み始めたきっかけを教えてください
副会長を1年務め、会長に就任してから6年目になりました。もともと、ごく一般的なPTAだったと思いますが、さらに活動しやすいPTAを目指して改革に取り組むことにしました。改革ポイントは、オンライン化による負担軽減やPTA会費の削減と返金。係や委員会の廃止にも取り組みました。
有明小学校は創立13年目の新しい学校で、PTA活動は開校2年目に始まったと聞いています。
自治会とのしがらみもなく歴史も浅いため、様々な改革がしやすかったこともありますが、一気に変えるのではなく、ゆっくりと負担なく改革に取り組んだことが功を奏しました。
「やってよかった」という改革を教えてください
PTA会費を”寄付金”という位置づけに変更したことです。PTA制度があることによって、非会員の家庭の子供が区別されるということはあってはならないと考えています。
PTA活動に賛同してくれる方にだけ会費を払っていただく。役員にならなくても、活動に参加できなかったとしても、”寄付金”としてPTAを応援してもらえる形にしました。余った会費は、各ご家庭の銀行口座に返金しています。
入会の意思確認は別途行っていて、賛同いただけない方だけ返事をもらうことにしています。非会員を選んだ家庭から、行事や配布物のために実費をいただくこともしていません。
学級委員制度も廃止し、登録制ボランティア組織「有明サポーターズ」を発足させました。行事ごとに係を募集し、連絡などはPTA事務局(役員)がカバーしています。
もちろん、事務局も完全ボランティア化しています。できる時にできる事を、みんなで楽しくやっていこう。無理をしない。伸び伸びとやりたいことができるよう、子供たちが育つ環境をPTAとして”育てて”いきたいと考えています。
ペーパーレス化の一環として広報誌も廃止されましたが、保護者の反応は?
広報誌は、もともと教職員紹介号のみの配布でした。
紙媒体としての配布物は廃止しましたが、教職員の紹介やお知らせは学校のシステムをお借りして配信しています。一斉メールにリンクを貼り、お子さんのGoogleアカウントでログインして配信内容を確認できるようにしてあります。
しかし、やはり広報誌を作ったほうが良いのでは?という意見も挙がったため、議論を重ね、無料で誰でもメンテナンスできるホームページを運用することに決めました。今は役員の中の3名が担当してくれています。
コロナ禍ではLINEを通じて、リアルタイムでさまざまな情報を配信していましたが、そのサービスが有料化してしまった現在はやめています。
お金は子供たちに有効に使いたいですからね。少しでも余分な支出を減らせるように努めています。
いま取り組んでいること、これから取り組みたいことを教えてください
先生方からのPTA会費の徴収を廃止したいと考えています。
規約の改正が伴うことなので、まだ完全に決定できてはいませんが、会費として支払うお金は、ご自身や家族のために使ってほしいという思いがあって提案しています。先生方には、学級活動でじゅうぶん子供たちにかかわっていただいていますので、ご負担を減らしたいと思いました。
私は、地域に暮らす人と人を繋げるのが大好きです。
単Pと南部協議会(江東区)と協働し、サークル活動の活性化に取り組んでいます。主にスポーツ大会やBBQなどを企画し、交流の場を提供しています。
学校と地域の中心に、PTAがあります。PTAには繋がりを促進する役割があると考えています。
やはり、何もない状態で親同士の横の繋がりを構築するのは難しいと感じていました。PTAがあるからこそ、できることもある。目指すは「有明ふるさと化計画」。卒業生もまだ成人を迎えた子がいない新しい土地ですが、地域を巻き込んでの活動をどんどん展開していきたいです。
さらなる挑戦として、いま取り組んでいるのは、全国の「有明小学校」を繋ぐこと。
全国に6校ある同名の小学校のうち、札幌・熊本・福岡にある3校のPTAと連絡を取ることに成功し、LINEを通じて情報交換しています。
あとは宮崎と鹿児島です。すべての学校が繫がれることを楽しみにしています。
今後の抱負を教えてください
強制ではなく、やりたい人が楽しめるようになれば良いですよね!
親子の関係を密にできるようなイベントをどんどん企画していきたい。
保護者が「もっと関わりたい」と思える活動を目指し、感謝の気持ちを持って取り組んでいきたいと思っています。